九州地方編1


はじめに

「日本縦断」それは自転車を趣味とする者としてずっとやってみたい課題でした。しかし気が付くと30歳を目前にし、今を逃したら体力的にも時間的にも不可能な気がしたのでやるなら今と言う判断で始めてしまいました。とは言っても務め人の身なので長期休暇などを利用して少しずつ挑戦してゆくことにしました。縦断ルートは私が山好きなので主に山岳地帯を通って縦断することにしました。
そうして2000年7月縦断が終わってしまいました。でも半年もするとまた走りたくなってしまって・・・。周りからは一周するんでしょって言われるし・・・。で結局日本一周を目指すことになりました。


九州走破図

九州地図
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1998/4/25

まる1日かかって列車を乗り継ぎ指宿へ、夕方長崎鼻という岬に着いた。よく起点とされる大隈半島の佐多岬とは反対側の薩摩半島の最南端の岬。佐多岬は自動車道となっていて先端まで自転車ではいけないし、個人的にこちらのほうが好きなのでこれを起点としました。開聞岳のシルエットが闇に消えていくと、フラワーパークで飼われている鳥達の妙な鳴き声だけが聞こえて異様な雰囲気。泊まるところもないので近くの無人駅西大山で一泊した。

走行距離 約20km

4/26

朝起きたら始発列車の来る10分前だったので、あわてて片づけて出発した。桜島を見ながら海岸沿いの国道226号を北上し昼過ぎに鹿児島へ着いた。鹿児島から隼人までの国道10号は所々山が海に迫っていて狭い上に交通量が多く自転車には辛かった。隼人からは国道223号を北へ向かい、暗くなってきたので表木山という無人駅で一泊した。

走行距離 約90km

えびの高原

えびの高原

4/27

朝6時に出発。眠い目を擦りながら霧島スカイライン経由でえびの高原を目指す。 道は明るく広いよく整備された道だが、逆に言えば影が無く日差しが暑く坂がストレートなのでかなりきつい。 バテバテなのをそこら辺の人に悟られるのが気恥ずかしいので、風景を楽しむふりをしながら押したり休んだりしながら登る。

坂の頂上付近にあるえびの市市営露天風呂に着いたのは17時前だった。この温泉には自炊宿泊施設があって1500円で素泊まりできる。ただ、源泉の水温が下がると閉鎖されるので開いてないことが結構あるらしい。山の中の露天で広くは無かったが開放感があって良かった。

走行距離 約40km

4/28

温泉を7時に出発、昨日の道をちょっとだけ引き返してから霧島バードラインでえびの市街に向け下る。昨日稼いだ標高差を一気に下る。この爽快感は自転車ならではだと思う。えびのからは矢岳高原を抜ける県道で行くことにする。高原は全く何もない所だった。人吉に出て温泉に立ち寄った後、免田方面へ向かう。くまがわ鉄道のおかどめ幸福駅という駅前の公園?でそっとキャンプした。

走行距離 90km

不土野峠

不土野峠

4/29

朝6時に出発、宮崎に通じる国道219号を通って湯前へ東進した。市房ダムを右手に見ながら北に進路を取り熊本・宮崎県境の不土野峠1040mを越える。時折妙に立派になる県道を下って上椎葉ダムへ向かう。国道の遥か下方に集落のある椎葉村を抜けたのが16時頃だった。

五ヶ瀬村へ向かう国道265号線を走り始めた頃急に雨が降ってきた。しかも所々一車線道の1/3位が崩壊しているという状態で、上から今にも石が落ちてきそうでゆっくり雨宿りもできない。そのうち勤務を終えた工事用ダンプにあおられて怖い思いをした。

18時頃ある集落の公民館の脇に東屋があるのを見つけそこに駆け込む。公民館で会議をするのか村の人が何人か集まってきたのでここにテントを張ることを許可してもらった。こういうときは怪しまれる前にこちらから話を切り出すほうがいいようだ。お陰で食べ物と酒の差し入れ、風呂にも入れて頂き感謝した。

走行距離 70km

阿蘇

清水峠より阿蘇側

4/30

朝6時出発。かつて一車線断崖国道だった旧道の国見峠を越えようかなあと思っていたら、昨日の雨のためか枕くらいの大きさの岩が転がっていた。やっぱり止めて素直に国見トンネルを抜けることにする。なかなか立派なトンネルで早朝ということもあって人っ子一人居ない。阿蘇へ向かうには数年前にこのトンネルができるまでは上記の旧道の峠道を越えるしかなかったという。

再び熊本県へ出た所で清和という所から県道を通って阿蘇外輪山を越える。高原を抜ける雰囲気の良い道で結構なだらかに清水峠820mを越える。この峠を少し下ると見晴らし良く阿蘇を見渡せるところがあった。のんびり寝転んでいるうちに天候が悪化、急いで下山するころには雨が降っていた。だんだん強い雨となり阿蘇の山々を迂回するようなJR沿いに走って休憩に寄った無人駅で結局一泊した。

走行距離 80km

関門トンネル入り口

関門トンネル人道入口

5/01

朝、やっぱり雨。晴れていたら1日潰して阿蘇見物でもと思っていたのだが諦める。どうやら走り梅雨に追いかけられているようだ。国道212号を北上するついでに大観望に寄るが総ては雨の中だった。なのに外輪山を越えると晴れていた。草原の中の気持ちいい真っ直ぐな道が続き案外早く杖立温泉へ。温泉街の中心を流れる川に鯉のぼりが無数に渡されていて日本一とある。どこか立ち寄れる温泉はないかとそこら辺の店で聞いてみるが次々無視される。腹が立ったのでそのまま引き上げた。

さてここから日田までが九州で一番恐い区間だった。狭い二車線で交通量は多いため車は避けて行ってくれないし、左手にダムがありワイヤーのガードレールでちょっと左に寄り過ぎたらそのまま隙間を通って下のダムに落ちる。神経をフルに集中させてダムサイトを抜けたら、次は路肩がガタガタの上ほとんど無い狭路で日田に着いたのは昼過ぎだった。ちょっと早いので河原でキャンプするのは中止し、彦山の方に向けて国道211号を走り福岡県に入る。日も暮れてきて適当な川原があったのでそこでキャンプした。

走行距離 120km

関門トンネル県境

関門トンネル内部・県境

5/02

昨日かなり走ったので今回の終着、下関まで50kmとなった。下関で一泊してから帰るつもりだったが翌日の雨の予報に嫌になり本日中に新幹線で帰ることにする。小倉市街までの国道322号バイパスは快調な道だったが市街は信号ばかりで速度が鈍る。目立つのか時々どこまで行くのか尋ねられた。門司港の和布利(めかり)公園には11時に着いた。

お楽しみの関門トンネル人道トンネルで、自転車ごとエレベータに乗り地下へ降下、トンネル約3kmを押して歩く(地元の人は乗ってましたが)。途中の県境で感慨に浸ろうとするがトンネルではいまいち気分がノッてこない。再びエレベータに乗り地上へ出る。新幹線に乗るため新下関駅に向かうが、下関ICのあたりで道に迷う。結局地元の人に道を聞く。親切にも途中まで案内してもらったが、国道を潜って越えたところの左手奥の方にトンネル通路がありそれを抜けると国道に出れた。でもこれは普通分からないって。結局この間うろうろしている間に大雨まで降ってきて気分は憂鬱。新下関駅に2時ごろ着いた。

走行距離 約60km
今までの総走行距離 約550km


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